分散投資

 まず、「分散投資」について、お話ししたいと思います。この分散投資を理解し実践できれば、「安全な投資」は手に入れたようなものだと思います。そのくらい、投資初心者が真っ先に理解するべき、大切な事柄だと思います。もちろん、ベテランの方は十分に身に染みていると思います(笑い)。

 分散投資として、一般的に言われている方法が、「時間/タイミングの分散」、「投資商品の分散」、「リスク分散」、そして「投資地域の分散」などがあります。これらについて触れたいと思います。

 まず最初に、大切な話をします。すべての事柄に言えることですが、投資においては、一般論というものは存在しません。投資する人の状況、投資金額の大きさ、投資目的などによって正解は変わります。考慮すべき事項は、山ほどあります。これらを踏まえて、以下の文章を読んでいただければ幸いです。

 記事を書き終えるまで、少々お時間をください。

時間分散/タイミング投資

 ここでは、「積立投資」と「一括投資]の話をします。

 時間分散の方法として、一般的に「積立投資」があります。定期的に積み立てることにより、購入時期を分散させ、平均購入単価を低くすることができます。(ドルコスト平均法

 そして、ほとんどの人にとって、この「定額定期積立投資」が有効で、お勧めされています。しかしながら、場合によっては「一括投資」の方が優れているときもあります。簡単に話をすると、超長期保有が前提であれば、一括投資は、積立投資よりもリターンが高くなります。

 また、「ナンピン買い」などの「タイミング投資」についても触れられればと思います。

 最初に、積立投資を用いて、私がベストと考える資産形成の方法を紹介します。

 米国地域を中心に、少額だけインドインドネシアなどの地域を対象の、インデックス投資信託を、定期的時間分散)に定額購入積立)します。最も大切なことは、価格が上がっても下がっても積み立てを続けることです。別な言い方をすると、途中でやめない売却しないということです。これだけです。

 一見簡単そうにみえる、「続ける」ことは意外に難しくて、多くの人(一説によると9割の人)が、購入した商品を2~3年で売却してしまうそうです。最初聞いた時は驚ましたが、現実だそうです。そのくらい継続することは、難しいそうです。

 これは、人間の自然な心理なのだそうです。意志が強いとか弱いとかの問題ではないそうです。従って、続けるためには、工夫が必要だそうです。その一つの方法をお伝えします。

 「タイミングよく、一括投資タイミング投資)を行う」ことだそうです。

 先ほど話していたことと矛盾するようですが、これは「投資の楽しさ」を味わうために行うそうです。詳細については、割愛させていただきますが、資産形成は長期の定額積立投資で行い、投資の楽しさを味わうために一括購入を行い、ときには売却するそうです。(番外編をどうぞ)

 他にも考慮すべきことはたくさんありますが、パフォーマンスが同じであれば、信託報酬(コスト)が安いことは、長期投資においてはかなり重要です。銘柄選定の際には気を付けてください。

※留意事項

 投資の目的は人それぞれですが、大きく2つに分けられると思います。一つは、「資産形成」、そしてもう一つは「資産保護」です。資産保護とは、少なくとも現在の資産を減らさない、または、取り崩しの延命を図るなどのことです。上記の方法は、あくまでも「資産形成」を目的とした場合の話です。
 定年後の資産の取り崩しの時期においての効率的な投資方法は、また別の機会にお話ししたいと思います。

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投資商品の分散

 投資商品の分散とは、投資を行う際、「株式」、「債券」、「コモディティー」などのたくさんの種類の投資商品に投資することを言います。その際に大切になってくることが、投資の絶対金額投資比率になります。これらは、「アセットアロケーション」や「ポートフォリオ」に関係する話になります。

 簡単に触れておきますと、「アセットアロケーション」は「資産・配分」とも言われます。自分の資産をどのような形(現金、株式、債券、不動産など)で、どのくらいの比率で保有するかを表します。そして、その後の自分の資産の増減は、このアセットアロケーションで決まる、とも言われています。

 次に「ポートフォリオ」ですが、「投資・配分」とも言われます。例えば、資産を「株式」で保有する際、どのような銘柄にどんな比率で投資するかを表します。

 ところで、一口に「株式」といっても、商品の種類や投資方法はたくさんあります。また、他の投資商品との組み合わせなどもあり、最初は戸惑うことも多いと思います。主なものを下表に示します。

商 品種 類対 象通貨備 考
投資信託インデックス地域、国、属性指数に従う
アクティブテーマ、属性規則に従う
米国株式米国株個別株
ETF
米国企業
米国株式
ドル

ADR個別株
ETF
世界企業
世界株式
ドル
米国以外の地域
(米国預託証券)
日本株式
東証上場
日本株個別株
ETF
日本企業
日本株式
海外株ETF世界株式
(説明)
投資信託
ETF

全てのあらゆる商品
投資信託株式化


に投資可能
したもの

  さて、冒頭で、「投資商品の分散とは、たくさんの種類の投資商品に投資すること」と述べました。これには、注意が必要です。たくさんというのは、単に種類が多ければ良いと言っているのではありません。商品が持っている値動きが違うこと、様々な動き方をすることを言っています。

 どういう事かと言うと、ある条件で、商品Aは値上がりするが、商品Bは値下がりするようなことをいいます。なぜ、これが大切かと言うと、商品Aと商品Bが完全に同じ値動きをするのであれば、同じ商品を持っていることと変わらないからです。

 そして、似たような動きをする商品しかないと、ある条件ではすべてが値上がりし、ある条件ではすべてが値下がりします。

 このようなポートフォリオでは、状況の変化に大きく振り回され、安定した資産の増加を望みにくいからです。その点、値動きが異なる商品が混在していれば、互いにカバーしあい、精神的に「安らいだ気持ち」で投資生活を続けることができます。

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リスク分散(マネージメント)

 次は、リスク分散(マネージメント)についての話です。

 ここでは、別な側面、値動きの「大きさから投資を考えてみましょう。

 ある商品Xは上昇や下落を繰り返しながらも、長期間(20年や30年)では、「必ず値上がりする」とします。この商品Xは、購入した後は、持っているだけで良い商品です。簡単ですね!でも、大部分の人にはこれができません。なぜならば、上がっても下がっても売ってしまうからです。

 理由は簡単です。値上がりすれば利益を確定したくなり、値下がりすれば損したくないので売ってしまいます。本来は、値上がりした時は、更に持ち続ければ大きな利益を得ることができ、値下がりした時は、いつかは値を戻してくるので損失を確定させる必要はありません。

 しかし、どんなに理屈では「売らない方が良い」ことを知っていても、実際に値下がりのときは耐えられなくなります。そのタイミングは、人により異なります。損失の限界が10万円の人もいれば、1000万円の人もいます。限界以上に下落した時は、誰にとっても精神的に厳しいものです。


 そこで大切になってくるのが、リスクという考えです。

 新商品Yを考えます。この商品Yは、商品Xと全く同じ値動きをします。ただ、Xに比べて値動きの幅が小さいのです。仮に、両方とも価格は2万円として、商品X最大1万円上下して、商品Y最大千円上下をすると考えます。

 普通に考えれば、商品Yは、まったく魅力のない商品です。

 条件が良いとき、商品Xは1万円も上がります。それに比べて、商品Yは千円しか上がりません。しかし、逆の見方をしてみましょう。条件の悪いとき、商品Xは1万円も下がりますが、商品Yは千円しか下がりません。

 これらの商品の上下の幅の大きさを、商品Xリスクが大きい商品Yリスクが小さいと言います。そして、投資において、これらの商品を組み合わせることで、自分のリスク許容度にあったポートフォリオを作ることができます。


 それでは、具体的にみていきましょう。

 まず、商品Xを2個4万円)購入したことを考えましょう。このとき、条件が良い時は6万円になり、条件が悪い時は2万円になります。次に、商品Xと商品Yを1個ずつ計4万円)購入することを考えます。この場合、条件が良い時は5万千円になり、条件が悪い時は2万9千円になります。

 この程度の金額の時は、好みの問題で、どちらでもよいかも知れません。多分、多くの人は、商品X2個を購入する方を選ぶと思います。しかし、投資金額が大きくなると話は変わってきます。

 ここで実際の資産形成を想定して、投資金額400万円の場合を考えてみましょう。

 商品Xだけの場合、値下がり時200万円になります。商品XとY半々の場合290万円になります。もちろん、上がった時の利益も大きくなります。さて、皆さんは、どちらを選びますか?


 長期・積立投資において、大切なことは途中で売却しないことです。

 上の例で、資産400万円200万円になると、多くの人が、これ以上、失いたくない!と感じると思います。結果、将来のことを考えられなくなり、売却してしまいます。しかし、下落時の資産が300万円くらいまでであれば、何とか売却を思い留まることができるかもしれません。

 今回、商品Xと商品Yを「5:5」で購入することを示しましたが、本来は、自分の損失に対する耐性リスク許容度)に応じて、自らがその比率を決めるべきものです。年齢も若く・時間的に余裕があるのであれば、Xだけでも良いと思いますし、定年退職後であれば、Yだけでも良いと思います。

 こうした観点でポートフォリオを考えることを、リスク分散(マネージメント)と言います。そして、長期投資においては非常に大切なことになります。

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投資地域の分散

 上記の二つほど重要ではありませんが、世界情勢が大きく変化するとき(まさしく今)、投資地域の分散は、大変重要な事柄になります。

 その時々によりますが、20年から30年で、世界の投資マネーの行き場所(地域)が大きく変化します。それを考えないで、最近(ここ10年くらい)のパフォーマンスだけを頼りに、投資地域を一つの地域米国)に限定することは大変危険だと思います。

 ただし、変わることが確かであっても、急激に変わるものではありません。従って、投資する地域を乗り換えるのではなく、新しい地域(新興国)への投資も取り入れる必要があります。特に、今後大きく成長する可能性がある地域(インドインドネシア)への投資は、リターンが非常に大きくなる可能性があります。

 これらのことを考慮して様々な地域に投資することを、投資地域の分散といいます。その際、注意すべきことは、リターンと同じくらいにリスクも大きいことを、考えなければなりません。従って、投資金額(投資全体に占める割合)は、慎重に考える必要があります。

 人それぞれ考え方があります。私のお勧めは、当初は「1割程度」を取り入れて、世界情勢の推移を見ながら、最大3割程度」が妥当だと思います。このことで、大きく儲けるという考えは捨て、おこぼれに与かる、くらいのスタンスが良いと思います。

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非・分散投資(番外編)

 物事には必ずと言っていいほど、別な見方があります。分散投資についても同じことが言えます。ここでは、「番外編」ということで、究極の「・分散投資」を考えてみます。間違っても、やってみようなどとは考えないでくださいね。

 今回は、すべての事柄を極力分散しないで、かなり危険と思われる方法を考えてみました。でも、個人的にはかなり魅力的です。やはり、何でもそうですが・・・危険なもの・人には惹かれますね。

 もし、実際に投資するとしたら、時期は、2022年末~2023年始めを考えています。理由は、米国株の4回目の下げを、このあたりと考えているからです。当座、米国株とインド株は同じような動きを考えています。

 リセッションの状況によっては2023年後半から2024年前半に、5回目の下げが来るかもしれません。しかし、その頃には、米国株とインド株の値動きは、若干、異なる動きをするのではないかと思っています。従って4回目の下げをターゲットにしようと思っています。

 もちろん、すべてがおとぎ話です。

 あくまでも仮にですが、来年の年始に投資した場合のターゲットイヤーは、2033年始めです。その頃には、米国株も過去の高値に達すると考えています。そして、インド株は最高の利確時期だと思います。その時がきたら、結果を報告しますね(10年後ですが・・・笑い)。

【執筆日 2022/12/23】

項 目非分散手法       具体的な事柄コード
時 間一括投資銀行でドルを購入して(総資産の2%を上限
商 品米国株式1種Direction デイリーMSCIインド株ブル2倍 ETFINDL
地 域新興国1国インド
その他レバレッジ2倍

<追記>

[2024/10/17]

 下記の記事にも書きましたが、結局、このレバレッジ商品である「INDL」の大量購入は見送りました。量が少なかったこともあり、現時点も持ち続けています。日々のアップ・ダウンはあるものの、現時点で50%程度の上昇になっています。

 しかしながら、同時期に購入した、インドETFの「EPI」も50%越えとなっており、一概にレバレッジ商品が良いということにはなりません。結局、相場は、上下するものであり、平均した時に、レバレッジのかかっていない商品の方が安定したリターンを得られる気がします。

 もし、どうしてもレバレッジ商品に魅力を感じる場合は、少額の投資にするか、短期間の投資での購入が有効であると思います。


追加記事(おとぎ話2・転じてこわい話)

 結局、前回の記事を書いた時とは大きく情勢が変わり、それに伴い、米国株やインド株の値動きも予想とは全く異なる状況になりました。従って、インド株2倍レバレッジ大量購入は行いませんでした。正確には、少量だけ購入しました。現在、購入時から20%程度上昇しています。

 今回の記事は、・分散投資第2弾です。具体的な投資対象は、米国長期債券ETF3倍レバレッジです。投資の根拠は、米国の急激な利上げによる金利上昇が、そろそろ(非常に微妙ですが・・・)利下げにより金利低下の可能性が高まったことです。

 投資には絶対ということはないので、あくまでも可能性が高いということです。特に、時期に関しては、想像以上に後ろに伸びる可能性があります。実際、分散購入後、10年債の金利は上昇を続けたため、大きなマイナスになっています。

 今回は、3つの証券会社で、対象ETFであるTMFを購入しました。金額も、計算してみたら、総資産の5%を超えていました。3倍レバレッジがついているので、逓(てい)減も考えられ、ドキドキしながら様子を見守っています。

 ある程度、結果が出るのは、早くても2024年に入ってからと考えています。従って、タイミングによっては、損失を確定させても、新NISA口座への移管も考えたいと思います。そうすれば、その後、利益が大きくなった時に効率が良いからです。

【2023/09/08】

項 目非分散       具体的な事柄備 考
時 間分割購入総資産の5~6%
商 品債券ETFDirexion デイリー20年超米国債 ブル3倍TMF
地 域1国米国
その他レバレッジ3倍

【補足】

 その後も、米国10年国債金利は上がり続け、4.5%を超えました。歴史的な高水準です。従って、3倍レバレッジの効果もあり、現時点で15%以上の下落になって20%に届く勢いです。途中、ナンピン買いをしたこともあり、購入総額も膨れ上がり、それが下落しているので、かなりの含み損になっています。(2023/09/27)


 追加記事です。その後も、米国10年国債金利は上昇を続けて5.0%に手が届きました。従って、現時点での評価損は、30~35%になりました。損失額としては、-$3,900(約60万円)になります。(2023/10/20)


 その後、インフレの落ち着きとともに、米国10年国債金利は落ち着いてきて、4.5%程度にまで下がりました。結果、損失額は、-$1,600(約24万円)ほどにまで減りました。下落幅は、15%にまで戻りました。

 しかし、インフレの落ち着きは一時的な可能性もあり、一部の推測では、今後、高金利が維持される可能性もあると言われています。その場合、ある程度長期にわたり含み損を抱える可能性があります。しかし、数年で考えれば、ある程度金利が下落する局面もあると思われるので、利確に関しては、何回かに分けての売却を考える必要があります。(2023/11/23)


 引き続きインフレが落ち着きそうな雰囲気から、利上げが終了し、利下げのフレーズに移行する考えが広まってきました。その結果、米国10年国債金利は、4.2%程度にまで下がりました。結果、損失額も少なくなり、合計では、-$917(約13.5万円)ほどにまで減りました。(2023/12/02)


 確定的な動きではありませんが、流れが変りつつあるようです。一つには、さんざん期待された利下げのイメージが少し見えてきたことです。ただし、経済指標の結果一つで、どちらにでも流れが変るので、今なお流動的と言えると思います。

 さて、米国10年国債金利は、4.02%まで下がりました。結果、損益額もプラスに転じて、3社合計で、+$418(約5.9万円)になりました。(2023/12/14)

 引き続き、変化が激しいです。たった1日ですが、米国10年国債金利は、3.92%にまで下がりました。結果、損益額も更にプラスを伸ばして、+$1,182(約16.8万円)になりました。(2023/12/15)


 後日談・・・

 現時点(2024/04/20)での話です。

 その後、米国10年債金利は、順調に3.78%(2023/12/28)まで下がり、含み益も大きくなりました。しかし、あとから振り返ったとき、ここが金利の底値でした。ところで、現時点で、まだ一度も利下げがされていません。その影響もあり、現在の米国10年債金利は、4.70%(2024/04/16)です。

 さて、大量のTMFを保有していた私ですが、たまたま、最高益近くで売り抜けることができました。しかし、必ず利下げがくるのだからと「ガチホ」していたら、現時点で40万円近い含み損になっているばかりでなく、投資資金(総額の6~7%)が焦げ付いていました。

 やはり、基本的にはレバレッジ投資はやめた方が良いと、身をもって感じました。

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